MRのキャリアアップとして、次の3つの戦略を紹介します。
- 「今の会社」でキャリアアップ
- 「専門領域MR」として転職してキャリアアップ
- 「他の異業種」へ転職してキャリアアップ
日々MR活動をしていると、この先もずっと「MRとして現場を回り続けていくこと」に漠然とした不安や嫌気が差してくることがありますよね。
自分よりもはるか年上の先輩MRを見て、
「この先、自分もあんな先輩のように何十年もMRをやるのか・・・」
と思うと、自分のキャリアアップについて、本気で悩んでしまうのは自然な流れです。
今回紹介するキャリアアップの3つの戦略は、あなたの考え方を大切にした3つの選択肢です。
1つ目の「今の会社」でキャリアアップする選択は、
「今の会社が好きなので、転職はしたくない!」
という人のためのキャリアアッププランです。
2つ目の「専門領域MR」として転職してキャリアアップする選択は、
「自分のMRとしてのスキルを上げて専門領域で活躍したい!」
という人のためのキャリアアッププランです。
3つ目の「他の異業種」へ転職してキャリアアップする選択は、
「MRの経験を活かして、MR以外の道で活躍したい!」
という人のためのキャリアアッププランです。
今回紹介する3つの戦略を参考にして、あなたに一番合ったキャリアアップの選択肢を見つけてくださいね。
目次
1.今の会社でキャリアアップ
現場のMRとしてキャリアアップ
まず最初に紹介するのは、「現場のMRとしてキャリアアップ」していく選択肢です。
あなたが現場のMRをやっている場合、そのまま「現場でMRとしてキャリアアップしていく」というのは王道ですね。
現場MR → チームリーダー → 営業所長 → 支店長
これはもう説明の必要もありませんし、あなたもよく知っているキャリアアップです。
いわゆる「いま目の前にあるMRの出世コースを順番に出世していく」という道。
これはとても長い道のりだし、それなりの出世競争は必須です。
営業所長になれる人数は決まっていますし、支店長クラスまで行けるのは、ほんの一握りです。
MRのキャリアアップの王道中の王道ですが、ほとんどのMRが、現場のMRで終わっていきます。
ですので、多くの場合、この先もずっとMRをやっていなければならないのが現実です。
現場MRから本社へのキャリアアップ
「今の会社でキャリアアップしていく」戦略の2つ目は「本社へのキャリアアップ」です。
本社へキャリアアップするための最善の方法は、
- MRとして「優秀な実績」を上げる
- 「本社に行きたいこと」をとにかく言い続ける
という究極の2つに絞られます。
とても地味な方法ですが、本社へキャリアアップするためには、ここにあげた2つがベストな方法です。
本社に行くためには「優秀な実績」をあげるのは当たり前の条件なのですが、
「本社に行きたい」
ということを、とにかく言い続けることがとても大切です。
- 今いる上司
- 周りの先輩
- たまに本社からやってくるプロマネ、マーケティング、学術担当の人
など、社内の周りのあらゆる人たちに、あなたが「本社に行きたい」ということを言い続けることです。
そうすることで、あなたの上司が、本社にあなたの希望を伝えてくれたり、周りの先輩が本社に転勤になった時に、あなたを引っ張ってくれたりします。
どんなに優秀な成績を上げても、指をくわえて待っているだけでは、なかなか本社に行くことはできなにのが現実です。
ハッキリと「本社に行きたい」と言い続けることで、あなたを見ている誰かが本社に引っ張ってくれます。
ホントに地味な話ですが、これが現実なので、よく理解しておいてくださいね。
また、本社に行きたい場合、単純に「本社に行きたい」を連呼するのではなく、
「本社に行って●●の仕事をしたい!」
という具体的なメッセージの方がより効果的です。
例えば「本社に行ってマーケティングの仕事がしたい!」というような感じです。
現場MRから本社へのキャリアアップの場合、本社のマーケティングやプロマネ(プロダクトマネージャー)が人気の職種です。
- 製品の発売導入戦略
- 市場拡大戦略
- KOLの囲い込み
- MRの活用ツールの立案
マーケティングやプロマネは、製品戦略の中枢となる仕事なので、現場のMRよりもはるかにやりがいがありますね。
また、マーケティングやプロマネこそ、社内の本社の人とのコネクションがものを言います。
「成績が優秀なだけ」、「大学病院を担当をしただけ」ではなかなかチャンスはやって来ないです。
自分のことをかわいがってくれる誰かが本社にいないと、ハッキリ言って本社への異動は難しいです。
また、マーケティングやプロマネは、英語力が必須です。
論文を英語のままそのままスラスラ読めたり、海外の学会で英語での聴講は当たり前。
場合によっては、グローバルとのやりとりで英語のカンファレンスもありえます。
あと、本社勤務でも、そこまでのキャリアアップを望んでいないなら、学術担当や研修担当もオススメですね。
あくまでも学術・研修に関する仕事がメインなので、営業的な側面は薄くなります。
ただ、学術的にはかなりレベルの高い知識を身につけることになるので、
「営業スキルより学術スキル」
で仕事をしていきたいという人向けです。

エリアで活躍するMSL
今の会社でキャリアアップする戦略の最後は、MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)です。
参考
MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)は、高度な専門知識をもとに、「自社品にとらわれずに治療全般の情報提供を行う専門担当者」で、MRより広いエリアを1人で担当しています。
MSLは「疾患領域の高度な専門知識」を身につけた担当者です。
営業のような売り込みはなく、疾患領域全般のサイエンスの知識を勉強しなければいけない立場になります。
実際にやっていることは、エリアのKOLを中心に人間関係を構築することですね。
KOL(Key Opinion Leader)=特定の領域でキーとなる著名な医師
KOLの先生と、自社品に限らない疾患領域全般にわたる情報提供とディスカッションをします。
先生の研究のサポートをすることもあり、その疾患領域における医師との対等な会話レベルが必要になります。
ですので、必ずしもMRの売上成績上位者が適しているわけではないのがMSLです。
今はまだMRからMSLにキャリアアップできますが、将来的にはMRからMSLへのキャリアアップは難しくなっていく傾向があります。
理系で博士号を取得していることが条件だったり、臨床開発のモニター出身からのMSLも、今後はありえるからです。
MRからMSLを狙うなら今のうちですね。
2.専門領域MRとして転職してキャリアアップ
専門領域のMRとして他社の製薬企業に転職
MRからMRへの転職で、
「今の会社にずっといても、先が心配だ」
というあなた向けのキャリアアップです。
具体的には、専門領域の担当MRとして、
- がん(オンコロジー)
- CNS(中枢神経系)
- 希少疾患
に特化して、専門的な知識を深めていくキャリアアップです。
具体的には、上記の3つの領域のような専門分野で新薬を発売してシェアを取っている外資系の製薬企業への転職です。
もし、あなたが今までのMR経験の中で、上記のような3つの領域の経験があるようだったら、それはキャリアアップのチャンスです。
さらにその専門領域での知識を深堀していくことで、この先「かなり重宝されるMR」になることができます。
場合によっては、年収アップも望めます。
ただ、先ほどあげたような「がん、CNS、希少疾患の領域は担当したことがない」というMRもいるはずです。
つまり、「専門領域MRは初めてのチャレンジ」という場合ですね。
この場合だと、残念ながら、いきなりその手の外資系製薬企業にキャリアアップしていくのは難しいです。
なので、あなたが「プライマリーケア領域」などから専門領域にチャレンジする場合は、一旦コントラクトMRに転職して「専門領域MRとして実績を積む」というパターンがあります。
ただ、
「今いる会社を辞めてまでコントラクトMRになりたくない!」
というMRも多いので、その場合は、この方法はオススメしません。
この「コントラクトMRに転職するパターン」をオススメできるのは、「転勤したくない」とか、何か別の理由があってコントラクトMRを検討している場合です。
もしあなたが、コントラクトMRへの転職を検討しているならば、思い切って先ほどあげた3つの専門領域にチャレンジした方が良いということです。
コントラクトMRで「専門領域に強いMR」として実績を上げれば、将来、派遣先の製薬企業へ「専門領域MR」として転職する道も開けてきます。

3.他の異業種へ転職してキャリアアップ
MRからのキャリアアップの最後の選択肢は「異業種への転職」です。
これまでお伝えしてきた「今の会社でのキャリアアップ」と「専門領域MRでのキャリアアップ」は、どちらもMRのままか、MRの延長線上での話でした。
ここからは、
「MRはもう辞めて、別の職種に移りたい!」
というあなたのためのキャリアアップです。
医療業界には、MR経験が活かされる「異業種へのキャリアアップ」の道がたくさんありますので、そのいくつかを紹介します。
CROのモニター(CRA)
あなたがMR経験を活かして、他の職種にキャリアアップしたいのなら、ダントツの人気ナンバー1は「CROのモニター(CRA)」です。
参考
「モニター(CRA)」とは、CRO(Clinical Research Associate)に所属して、新薬の治験開発の業務を進めるために、施設の医師とやりとりをする担当者のこと。
CROのモニターは、新薬の開発業務を推進するために、施設の医師とやりとりをします。
ですので、MR経験で培った「医師とのコミュニケーション能力」がそのまま活かされる仕事です。
実は、製薬企業の新薬開発業務の多くはCROに外注されていて、CROに在籍している治験を推進する専門スタッフが新薬開発に携わっています。
特にモニター業務は、CROの中でもメインとなる花形業務で、元MRもたくさん活躍しています。
CROのモニターが、
「なぜ、キャリアアップになるのか?」
について、以下にあげてみました。
CROのモニターがキャリアアップになる理由
- MRの経験を活かしつつ、治験業務という専門性を身につけることができる。
- MRより、はるかに高いレベルの医学的知識を身につけることができる。
- MRでは絶対に経験できない「新薬の開発業務」を全般的に学べる。
- モニター経験を積むことで、治験企画、メディカルライティング、薬事コンサルタントなど、様々なキャリアの可能性が生まれる。
- モニターで実績をあげれば、製薬企業の開発部門へ引き抜かれることもある。
といった感じです。
MRよりも「業務の専門性」「知識の専門性」のどちらも高く、キャリアアップの道が豊富であることが特徴です。
また、キャリアアップとは直接関係はないのですが、
「モニターには転勤がない」
ので、MRからの転職組に人気がある職種です。
もし、CROのモニターに興味がある場合は、次の記事が参考にしてくださいね↓↓↓
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未経験からCRA(モニター)へ転職するメリットと気になる年収
「MRをやめて、別のキャリアに進んでいきたい」 「全国転勤が嫌なので、MRをやめて転勤のない仕事に転職したい」 「結婚や出産の後も、安心して働き続けられる仕事に転職したい」 というような理由で、MRか ...
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その他のキャリアアップにつながる転職先
MRの経験を活かしたキャリアアップの異業種として、CROのモニターを紹介しましたが、他にもまだまだキャリアアップできる選択肢はあります。
製薬企業を相手にしている企業が中心になりますが、全く別業界の職種もあります。
以下に具体的な職種を並べてみました。
MRからのキャリアアップの異業種
- 広告代理店
- 転職エージェント
- 医療系コンサル
- インターネットを活用した医療系サイト
- 戦略系コンサル
- 保険会社の営業
のような職種が、MRからのキャリアアップで転職できる代表的なものです。
ただ、この中にはオススメの転職先だけでなく、転職ハードルの高い「チャレンジングな転職先」もあります。
これらの転職先の具体的な紹介をしている記事があるので、一度、次の記事も参考にしてみてください↓↓↓
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MRから転職できる異業種・他業界のオススメ転職先とNGの転職先
MRを何らかの理由で辞めて、 「異業種や別業界に転職したい!」 というあなたにオススメの転職先を紹介します。 MRから転職できる鉄板の「オススメの転職先」 高年収だけど「チャレンジングな転職先」 MR ...
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まとめ
MRのキャリアアップの道について紹介しました。
- 「今の会社」でキャリアアップ
- 「専門領域MR」として転職してキャリアアップ
- 「他の異業種」へ転職してキャリアアップ
の3つを紹介しましたが、どのキャリアアップを選択するかは、あなたの現在の状況や理想的な将来像をどう考えるかによりますね。
今の会社で「理想のキャリアアップ」が望めるならば、何もリスクはないですし、一番話が早いキャリアアップです。
ただ、あなたの置かれている状況が、
「いまの会社では、この先のキャリアアップの道は難しい」
という感じで、会社に何も期待できない場合は、「専門領域MRへの転職」や「他の異業種への転職」を考えていくのが賢い戦略です。
あなたの「MRの経験」は、あなたが思うより貴重な経験で、様々なところで重宝されることが多いです。
思い切って、今の会社を辞めて、新しい道を選択することでしか得られないキャリアアップもあります。
あなたの理想の将来像を描いてみて、それに近づくためのプランを考えてみてください。
また、あなたが今の会社を辞めてキャリアアップのために転職を検討する場合は、転職エージェントへの登録は必須です。
転職エージェントに登録することで、様々な非公開案件を出会えたり、今後のキャリアについて相談をすることが可能になります。
ぜひ、転職エージェントに登録して、MRからのキャリアアップを成功させてくださいね。