MRに転職したいけど、
- 本当に全国転勤させられるのか?
- 実際の転勤の頻度はどれぐらいなのだろうか?
- 勤務地の希望は通らないのか?
というような不安や疑問で、MRへの転職を戸惑っているあなたのために、僕の経験談と周りのMRさんの転勤状況をもとにMRの「転勤の実態」をお伝えします。
結論から言うと、MRには「全国転勤」があるのですが、やみくもに全国を飛ばされまくるような無茶苦茶な転勤はありません。
それぞれ個人個人の家庭の事情や様々な要因によって、ある程度の勤務地の希望が通るケースが多いです。
また、一部の外資系製薬企業に転職したり、コントラクトMRになることによって、転勤のないMRになることも可能です。
MRだからといって、激しく全国を異動しまくるわけではありませんので、安心してくださいね。
目次
MRに転勤がある理由は?
MRには、原則転勤があります。
理由は次の通りです。
MRに転勤がある理由
- 患者さんは全国にいるので、医薬品が処方される病院やクリニックの医療機関も当然全国の市町村にある。
- MRの仕事は、医薬品の情報を医療機関に届けることが目的である。
- よって、北海道から沖縄まで全国の医療機関を網羅して、MRが訪問する必要がある。
ですので、全国の市町村をもれなく担当するために、MRが転勤していく必要があるわけですね。
さすがに、全国のMR全員を現地採用するわけにはいきませんからね。
このように、医薬品の適正使用に関する情報を全国の医療機関に届けるために、MRは転勤せざるを得ないわけです。
また、転勤には「会社の組織の維持や、会社を活性化させる」という目的もあります。
組織変動による「定期的な転勤」や、欠員が出た場合の「穴埋め的な転勤」です。
優秀なMRの場合、「管理職へ昇進するための転勤」や「本社への転勤」もありますね。
人によっては、何かマズいことをやらかしてしまった時の「飛ばされる転勤」もあるので、そんな目には会わないでくださいね。
MRの転勤の頻度は多いのか?
実際の転勤の頻度の幅
MRの転勤の頻度は、会社やそのMRによっても違いますが、早ければ5~6年で転勤、長い人だと15年以上転勤がない人もいます。
転勤の頻度は人によって様々で、タイミングや環境によってかなり変わってきます。
ただ、早くても5~6年で転勤なので、「2~3年でコロコロ転勤し続ける」ということは、今まで周りのMRでも見たことがありません。
だいたい平均すると、7~10年ぐらいの頻度で転勤しているMRが多いです。

ちなみに僕の場合は、最初に配属されたエリアは、出身地でも出身大学があった場所でも何でもなく、縁も何も関係ない勤務地でした。
その地方のある県内で4年間転勤なしで過ごし、さらに転職して、同じ県のまま6年間転勤なしで過ごしました。
つまり、結局10年間同じ県のままだったということです。
もちろん、担当する市が変わることはありましたが、ずっと同じ県内での勤務でした。
家族がいる場合の転勤
正直な話、製薬企業の場合、独身で若いうちは「全国転勤していくのは当たり前」というような考え方の会社が多いです。
またMRの方も、
「基本的に断る理由がない場合は全国転勤していく」
という考えを持っている人が多いので、実際に、若い世代の独身のMRが、転勤を打診されて断っている例をほとんど見たことがありません。
ただ、結婚して家族がいる場合は、子供の状況によって転勤事情が変わってきます。
結婚をしている男性MRでも、子供がいなかったり、子供が小さいうちは、家族も一緒に転勤して引っ越ししています。
でも、子供が小学校の高学年や、中学生以上になると、子供を転校させるのを避けるために、お父さんMRが単身赴任で転勤していくことが多いです。
転勤が打診されないパターン
MRには全国転勤がつきものなのですが、その人の家庭の事情などによって、「会社から転勤が打診されない」ケースがあります。
仮に、会社から転勤を打診されたとしても、転勤を断ることができるケースです。
会社から転勤が打診されないケースは主に次の2つです。
- 親の介護がある
- 女性MRで結婚している
まず、「親の介護」がある場合は、基本的に転勤を打診されることはないです。
親の介護があって、「どうしても地元を離れられない」という特殊な家庭事情をしっかりと会社に伝えれば、転勤を打診されることはないです。
また、女性MRで結婚している場合も転勤を打診されないですね。
旦那さんと住んでいるのに、転勤させて「嫁さんを単身赴任」なんて、絶対にありません。
さらに、出産して子供がいたら、転勤を打診されることは200%ないです。

勤務地の希望は通るのか?
勤務地の希望は「支店」レベル
「MRには転勤がある」ということをお伝えしてきましたが、逆の見方をすると、
「希望する勤務地に行ける可能性がある」
というメリットもあります。
基本的には転勤は受け身の姿勢であり、会社から「〇〇へ転勤して欲しい」と打診を受けるものです。
ただ、常日頃から、あなたの勤務地の希望を、面談で上司に伝えたり、会社に希望を出すこともできる会社も多いです。
こんな場合に、あなたが希望する勤務地に欠員が出たとき、あなたを優先的にその勤務地に配属することはよくある話です。
と言いっても、全国の都道府県にMRをくまなく配置している関係上、あなたの希望が必ず通るわけではありません。
勤務地の希望も「〇〇県」のような範囲で、「〇〇市」というような担当エリアまでは希望できないのが普通です。
通常、全国の各県に「営業所」のようなものがあり、各営業所を取りまとめた大きな「支店」が、各地方の中心となっている政令都市にあります。
ですので、勤務地の希望としては、「〇〇支店に行きたい」ぐらいのレベルの希望ならば比較的通りやすいです。
一旦希望の支店に転勤して、そのあと狙っている県の営業所に転勤していくというパターンも実際にありますね。
地元にこだわった勤務地の希望
MRの全国転勤は確かにデメリットではありますが、地方都市出身者の場合はメリットであることもあります。
製薬企業のように年収も高く、上場しているような大きな企業に勤務するとなると、地方都市出身者の場合は、地元を離れて東京や大阪で働くことが多いですよね。
でも、MRの場合は、全国転勤があるので、「地元に転勤できるチャンスがある」という考え方もできます。
MRになれば、何も東京や大阪に縛られる必要はなく、地元に戻りながらも高い年収を維持することができるのです。
ただし、あなたが会社に希望を出して、地元に転勤できたとしても、生涯そこで落ち着いて、転勤がないということはありません。
また、何年か経ったら地元を離れて転勤していくことはよくあります。
よくある多いパターンとしては、
- 若いうちは地元を離れて全国転勤をして
- 結婚したら地元への勤務地に希望を出して転勤で地元に戻り
- そこでマイホームを建てて子供も育てる
というパターン。
いや、ホントにこのパターンは多いです。
マイホームを建てて、子供が生まれたら、なるべくその地方での近隣の県での勤務地希望を出して、地元の地方で定年まで過ごしていくというパターンです。
また、マイホームを建てた後に離れた地方への転勤を命じられてしまったら、いったん単身赴任で転勤して、何年かしたら、またマイホームを建てた地元に戻ってくる人もいます。
こんなパターンが、MRの転勤でよくあるパターンです。
転勤がないMRに転職するには?
MRには転勤があるという話をしてきましたが、「転勤がないMR」に転職する方法もあります。
「転勤がないMR」に転職する方法は次の2つです。
- 比較的最初の勤務地が通る「外資系のMR」
- 基本的に転勤がないCSOの「コントラクトMR」
この2つについて順番に見ていきます。
外資系のMRの場合
外資系の製薬企業のMRの中には、最初の配属地を希望できるところもあります。
特に女性MRには、最初の配属地を優遇することが多く、外資系の企業はこのような配慮がよく行き届いています。
女性の場合、いきなり見知らぬ土地で一人暮らしを強いられるのは抵抗があるので、女性に配慮して勤務希望地が通るところもあるのです。
ただ、外資系の製薬企業でも、全国の市町村に適切にMRを配置しなければならないので、「〇〇県〇〇市」のようなピンポイントでの希望ではなく、「〇〇県内」とか「〇〇地方」という大まかなエリアに希望範囲を限定されます。
コントラクトMRの場合
転勤のないMRと言えば「コントラクトMR」です。
参考
「コントラクトMR」とは、CSO(Contract Sales Organization)に所属していて、製薬企業に派遣される契約型のMRのこと。
コントラクトMRは、製薬企業と契約してプロジェクト単位で派遣されるMRなので、基本的に全国転勤はないです。
ある特定のエリアで「MRのスペシャリスト」として、契約先の製薬企業に派遣されて働くタイプのMRです。
ですので、製薬企業の社員ではなく、CSOの社員として勤務する形態ですので、製薬企業から全国転勤を命じられることは絶対にありません。
ただ、契約型MRとして派遣されるからには、しっかりと実績を出さないと依頼元の製薬企業から切られてしまうリスクがあります。
派遣型のコントラクトMRだからといっても、営業として実績を出さなければならないのは、通常のMRと同じです。
また、最近は、コントラクトMRでも場合によっても転勤の可能性もあるので、転職前には十分情報を収集してください。
コントラクトMRでも、転勤可のMRの方が重宝されているのも事実です。
ただ、基本的には、「コントラクトMRになれば転勤はない」ので、転勤のないMRになりたいならば、「コントラクトMR」が選択肢になります。
実際のMRの転勤事情
MRという職種の性質上、原則的に転勤はあります。
営業の相手が医療機関なので、全国を網羅するためには仕方がない話です。
ただ、実際には、やみくもにサイコロを振るように、数年でコロコロ全国を大きく移動するような転勤があるわけではありません。
働いている社員の環境も考慮しますし、家族の事情もある程度考慮されることが多いです。
現実的な話としては、MRとして実績を出して社内であなたの評価が高まれば、営業所長や支店長も「あなたを手放したくない」ので、転勤ローテーションにかけないことも普通にある話です。
また、しっかりと実績を出していれば、「本人の勤務地の希望」もよく聞いてくれます。
このあたりは、あなたがMRとして入社してからの「実績」と「社内の人間関係」が大きく関わっているのも事実です。

逆に、「あまり実績を上げていない」とか、「上司との人間関係も良くない」という状況だと、言い方は悪いのですが、「どこかに飛ばされる」ということも十分あり得る話です。
ただ、最近は「転勤なしのMR制度」を採用している会社がかなり増えてきました。
転勤なしのMR制度
「全国転勤がない代わりに、管理職や出世の道が無く、地元限定のMRとして生涯やっていく」というMRのための制度。
転勤なしのMR制度では、もちろん、年収や手当・待遇も、通常のMRより下がりますが、製薬企業なので、一般の営業職に比べると年収は高い方です。
このあたりは、あなたが「何を大切にするか」がポイントになってきます。
また、あなたの現在の状況にも左右される話です。
独身なのか、結婚しているのか、子供はいるのか、親の介護はあるのかなどの、あなたの現在の状況と描いている将来像が大切です。
まとめ
MRの転勤の頻度と転勤が多い理由について、具体的な事例も交えながら紹介してみました。
転勤を命じられて、見知らぬ土地に行くのは誰でも抵抗があります。
ただ、「転勤」の狙いの一つに、
「いろいろな土地で、いろいろな人たちと新たな経験を積んで成長していく」
という目的もあります。
僕も、10年間見知らぬ土地で生活しましたが、今となって言えることは「大変貴重な経験をすることができた」ということです。
もしもあなたが独身ならば、MRに転職して見知らぬ土地で、新しい人たちと出会い、新しい生活を始めてみるのも貴重な経験です。

ただ、あなたが結婚して子供がいたり、親の介護などの家庭の事情がある場合は、簡単に転勤するわけにいきませんので、転勤のないMRに転職することがベストな選択となります。
あなたの今の現状と将来像を考えつつ、自分に合った転職先を探すのが理想的な転職活動ですね。
そのためには、求人案件の企業情報の収集が肝心ですので、積極的に転職エージェントに登録して、担当者にいろいろと相談してみてください。
転職エージェントの担当者は、製薬企業における様々な情報を持っていますので、きっとあなたの役に立つはずです。