「MR」と「薬剤師」の違いについて詳しくお伝えします。
医薬品に関連した仕事をしていない別業界の人にとってみたら、いま一つ違いが分かりにくいかしれませんが、MRと薬剤師は全く別物です。
- MRは「医薬品を販売するための営業の人」
- 薬剤師は「調剤薬局で患者さんに薬を調剤する人」
という違いがあります。
また、MRに転職するためには「薬剤師の免許」は必要ありません。
- あなたが薬剤師の免許を持っていなくても
- あなたが文系で、医薬品のことを全く知らなくても
異業種からMRに転職できますので大丈夫ですよ。
目次
MRと薬剤師の違いって何?
MRの仕事と薬剤師の仕事の違い
医薬品業界に関わっていないと、MRと薬剤師の仕事の違いは「何となく」分かっても、その関連性がちょっと分かりづらいですよね。
でも実際は、MRと薬剤師の仕事は「全く違う仕事」なのです。
MRは、「〇〇製薬」のような製薬企業に勤務して、自社品である医薬品の情報を医師や薬剤師に伝えて「医薬品を販売するための営業の人」です。
これに対して薬剤師は、病院の薬局や、調剤薬局に勤めて「患者さんに医薬品を調剤して渡す人」です。
つまり、MRの視点で分かりやすく説明すると、
- MRは、医薬品の情報提供をする「営業マン」
- 薬剤師は、MRから情報提供を受ける「お客さん」
という立ち位置になり、お互い立場が全く違いますね。
MRの認定試験と薬剤師の免許の違い
MRは、製薬企業に勤務して医薬品の情報提供をする立場なので、厳密に言うと、MRには「これといった資格や免許が必要ではない」のです。
ただ、MRには「MR認定試験」というものがあって、MR認定センターというところが主催している「MRとして一定の知識基準を満たしているかどうか」というのを判断する認定試験があります。
MR認定試験には、
- 医薬品情報
- 疾病と治療
- 医薬概論
の3科目があり、毎年12月に試験が行われています。
これがいわゆる「MR資格」と呼ばれているもので、あなたも一度は聞いたことあるかもしれません。
でも「MR認定試験」は、国家資格でもなければ、これに合格していなければ「法律的にMR業務ができない」という免許でもありません。
ですので「MR認定試験」は、
- 製薬企業に転職した後に受ければ良い試験であり
- MRに転職するために事前に勉強して合格しておく必要はない
のです。
MRに転職したいけど、
- MR認定試験を受けておいた方が良いのか?
- 事前に勉強して、MR資格を持っていないと、転職に不利になるのではないか?
とか心配する必要は全くないので安心してくださいね。
MRに転職した後に「MR認定試験」に合格すれば全く問題ないですよ。
これに対して薬剤師は、患者さんに医薬品を処方する専門職なので「薬剤師の免許がないと、法律で業務を行えない」ことになっています。
このあたりは「MR認定試験」とはレベル感が違います。
薬剤師の免許を取得するためには、大学の薬学部を卒業して、「薬剤師の国家資格に合格」する必要があります。
試験科目は、「物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務」について、それぞれ「必須問題と一般問題」が出題され、毎年2月に試験が実施されます。
はっきり言って「かなり難関の国家資格」です。
MR認定資格と薬剤師免許を取得する難易度の違い
MR認定試験と薬剤師の国家試験の難易度の違いは明らかで
「薬剤師 >>>> MR認定試験」
で、「薬剤師の国家試験」の方が断然難易度は高いです。
また、製薬企業に転職してMRになったら、「MR認定試験は、基本的に合格して当たり前」という感じの試験です。

僕は文系出身なので、医薬品に関する専門用語や知識をたくさん覚えるのに苦労しましたが、それでも何とか1回で合格することができました。
逆に、MR認定試験に合格できなかったり、それこそ何回も落ちていたりすると、会社の中でかなり白い目で見られてしまい、「最終的にはMRを外されてしまう」ということもあります。
別に、MR認定試験に合格していないと法律的にMR業務ができないというわけではありませんが、そこは暗黙の了解で「合格して当然」、逆に落ちたら「あんた何やってるの?」というのがMR認定試験です。
これに対して「薬剤師の国家試験」は、難易度がめちゃくちゃ高いです。
- 大学の6年制の薬学部で薬学について勉強して
- さらに難関な国家資格に合格して
初めて薬剤師の免許を取得できます。
僕の周りにいる薬剤師の人たちは、大学時代に薬剤師試験のための予備校に通いながら、「毎日毎日、一日中勉強してしてやっと合格した」と話しています。
薬剤師の合格発表で合格を知った瞬間、「感極まって泣いてしまった人」もいましたよ。
逆にMR認定試験は、仕事をしながら片手間でも合格できる試験で、合格しても泣いてしまう人はさすがにいません。
MR認定試験に「落ちてしまって泣く人」はいるかもしれませんが。。。

MRになるために何か資格は必要なのか?
転職してMRになったら、「転職後にMR認定試験に合格するのは必須ですよ!」というお話を伝えましたが、裏を返せば、「MRに転職するために、事前にMR認定試験に合格しておく必要はない」ということですね。
当然ながら、MRになるために薬剤師の免許を持っている必要もありません。
つまり、MRに転職するために「事前に必要な資格は、何もない!」のです。
薬剤師じゃなくてもMRに転職することは可能ですし、実際、薬剤師の免許を持っているMRは、「MR全体の1割~2割程度」しかいません。
むしろ、「文系出身のMRの方が多い」のが現状で、MRとして必要とされるのは、「薬剤師としての知識」よりかは「営業マンとしての心得」ですね。
薬剤師の免許を持っていると有利なのは、MR認定試験の「医薬品情報」「疾病と治療」「医薬概論」の3科目のうち「医薬品情報」「疾病と治療」の2科目が免除されることぐらいです。
あなたが仮に、医薬品のことを全く知らない「異業種の文系の営業職」だとしても、MRへの転職の道は「十分ある」ので大丈夫です。
MRに転職するために、あえて必要な免許をあげるとしたら、「車の運転免許」ぐらいですね。

ですので、あなたが、今の会社をやめてMRに転職しようかどうか悩んでいるならば、「思い立ったその日から」あなた次第で転職活動が始められるわけです。
参考これまでのMRと薬剤師の違いをまとめてみましたで、参考にしてみてください。
MR | 薬剤師 | |
業務の内容の違いは? | 製薬企業に勤務して、医薬品の情報提供を行って販売する | 調剤薬局に勤務して、患者さんに薬品を調剤する |
仕事の相手の違いは? | 医師や薬剤師 | 患者さん |
法律的に免許が必要か? | 免許は必要ないがMR認定試験がある | 薬剤師の免許 |
どんな試験? | 単なる認定試験 | 国家試験 |
試験の難易度の違いは? | 仕事をしながら片手間で合格 | 予備校に通って毎日一日中勉強 |
合否で泣けるか? | 落ちたら泣ける | 合格したら泣ける |
MRに転職するためには?
- MRになるのに薬剤師の免許は必要ない。
- MRに転職するために事前にMR認定試験に合格する必要はない。
- 文系出身でも全く関係なくMRに転職することが可能。
MRってどんな仕事?
MRは医師や薬剤師に医薬品の情報提供をすることが仕事
MRは、医師や薬剤師に「自社品の医薬品情報を提供する」のが仕事です。
医薬品は、病気の患者さんに投与するものなので、医師が間違った使用方法をしてしまうと治療できなかったり、副作用が起きてしまう可能性があるので、「正しい情報提供」が必須です。
ですので、医薬品の勉強だけでなく、その疾患と治療に関する様々な勉強をして、「専門的な知識」を身につけて医師や薬剤師に情報提供をすることが、MRの主な仕事になります。
- 自社品の医薬品の適正な使用方法
- 一緒に併用して投与してはならない医薬品の情報
- 注意すべき副作用情報
など、医薬品ならではの「専門的な知識」を深く勉強する必要があります。
専門的な知識を勉強するのは結構大変ですが、MRになるからには、患者さんの治療の役に立つためにも避けては通れない話ですね。
MRは営業
MRは、医薬品の情報提供をすることが仕事なのですが、その一方で
「自社の医薬品を売らなければいけない」
という仕事でもあり、やっていることは「営業」です。
実際に僕も長年に渡ってMRをやってきたけど、毎月毎月、月末になると「今月の売り上げ目標数字に、あといくら足りない!」という数字に追われ、さらに期末になるとかなり無理をして営業をしたこともあります。
「MRの仕事は医薬品の情報提供」という謳い文句は決して間違ってはいないのですが、ただ単に「情報提供していれば良い」というわけにも行かないのがMRです。
もしあなたが今、MRとは違う何か別の営業職の仕事をしているならば「今あなたがやっている営業職の仕事と、MRはそれほど変わらない」ということが言えます。
ということは、逆を言うと、あなたが今、異業種の営業職だからといって、MRに転職するのに「何か特別なハードル」があるわけではありません。
医薬品の知識は、MRに転職してから勉強すれば全然大丈夫です。

MR職のメリットとデメリット
あなたが今いる業界をやめて、新しくMR業界に転職するには、いろいろな不安があると思います。
そんなあなたのために、医薬品業界20年以上の経験をもとに、MRに転職する「メリット」と「デメリット」をめちゃくちゃ端的にまとめてみました。
メリットとデメリットを3つずつに絞っています。
MRに転職する「メリット」
- 一般的な営業職と比べて平均年収が高くて待遇が良い。それでいて有給休暇も取りやすい。
- 専門性の高い仕事で、MRに転職後のキャリアアップの道が豊富にある。
- 人が生きている限り病気はなくならないので、医薬品業界もなくならないし、経済の景気に左右されない。
MRに転職する「デメリット」
- MRは営業なので、売上に対する数字へのストレスがある。
- 病気や治療、医薬品に関する勉強を継続していかないといけない。
- 法律や業界の制度の変化によって影響を受けやすい。
こんな感じですね。
ですので、今の職場に不満があって、この先その業界自体に不安を感じているのならば、「MRへの転職」を選択肢に入れてください。
またさらに、営業という仕事が嫌いではなく、新しいことを学ぼうとする意欲があるならば、「あなたはMRへの転職活動を始めるべき」ですよ!
まとめ
MRと薬剤師の仕事の違いや、免許が必要かどうかについて紹介しました。
- 「MRになるためには、薬剤師の免許を持っていないといけないのではないか?」
- 「MRに転職する前に、MR認定試験に合格していないといけないのではないか?」
という疑問があったかもしれませんが、全くそんなことはありません。
車の運転免許さえ持っていれば、MRへの転職にチャレンジすることが可能です。
MR認定試験は、製薬企業に転職してから勉強して合格すれば良い試験で、みんな仕事をしながらでも合格しているレベルの試験です。
ですので、あなたが今いる業界を抜け出して、将来性と安定性のある医薬品業界でのキャリアアップを考えて、「MRへの転職活動を開始すること」にためらう必要は全くないですよ。
また、MR未経験者の場合は、MR業界の知識や製薬企業のことについて「情報が少ない」と思うので、転職エージェントを活用して転職することをオススメします。
自分一人でMRへの転職活動を行うのは、後悔だらけの転職になりがちでかなり危険です。
ここは「失敗しない転職活動」をするために、転職エージェントへ登録して、いろいろなMRの求人案件を紹介してもらうのが正攻法ですね。
最後に、未経験者からMRになるための詳しい記事もありますので参考にしてみてくださいね↓↓↓
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