オンコロジーMRのやりがいと年収について紹介します。
プライマリケア領域担当MRなどが、MRとしての「やりがい」が無くなってしまい、ヤル気が下がってきてしまうことはよくある話です。
- 医師の使い走りはもうイヤだ
- 医師のご機嫌伺いに疲れた
- 必要以上の頻回訪問は意味がないと思う
- 卸MSとのやりとりが面倒くさい
- 魅力のない自社品の紹介にやりがいを感じない
というような状況ではMRをやっていても、「やりがい」なんてありませんよね。
そんなあなたが「やりがい」を求めて、
「オンコロジーMRに転職する」
というのは、とても賢いステップアップの戦略です。
ハッキリ言って、オンコロジーMRに転職すると、MRとしてのやりがいは格段にアップします。
さらに、プライマリケアMRなどの一般的なMRより年収も高いです。
やりがいと年収を求めてオンコロジーMRへの転職を検討するあなたのために、まず最初にオンコロジー領域の特徴を紹介し、その後に
- オンコロジーMRの年収
- オンコロジーMRのやりがい
- オンコロジーMRになる方法
についてお伝えしますね。
目次
オンコロジー領域の特徴
がんの原因は遺伝子変異
オンコロジー領域の話をするのに「分子標的薬」の話は外せないので、最初に「分子標的薬」の話をします。
がんの原因は遺伝子変異と言われています。
この遺伝子変異にターゲットを絞ったのが、がん治療薬の主役である分子標的薬です。
がん細胞の表面にあるたんぱく質や遺伝子を標的として効果を発揮します。
以前主流だった古いタイプの抗がん剤と比べて、がんの治療効果を上げ、予後を改善すると言われています。
分子標的薬は、がん細胞の増殖や転移が行われる分子だけを標的とするので、正常な細胞へのダメージが少なく、従来のがん治療に比べると理論的には副作用が少ない傾向があると言われています。
分子標的薬の出現で、患者さんの病態の改善だけでなく、副作用の軽減についてもMRから提案できるのがオンコロジー領域です。
MRにとっての「医療への貢献」というやりがいがある領域です。
副作用をいかに軽減できるか
「がんの治療薬」と聞くと副作用が強いイメージがありますよね。
分子標的薬で副作用が軽減されてきたといっても、まだまだ他の疾患の薬剤に比べると副作用は多いです。
がんの治療のために、投薬による副作用で苦しい思いをしている患者はたくさんいるのです。
ですので、実際の医療現場においては、
「いかに副作用を軽減させることができるか」
の情報提供も大切になります。
同じ薬剤を投薬しても、患者によって副作用の現れ方が違うので、その患者ごとに投与薬剤を変えたり、投与方法を考える必要があるのです。
オーダーメイド治療である
オンコロジーMRの場合は、
「こんな患者さんに使ってください」
ではなく、
「その患者さんには〇〇を使ってください」
というように、患者さんによって最善の治療方法を検討したうえで、薬剤を薦める必要があります。
ブロックバスターとは違って、症例1例ずつに対するオーダーメイド治療に基づく投薬なのです。
実際に医療現場でがんと闘っている患者さん1例ずつに最適な治療法を考える必要があるので、オンコロジーMRは、自然と「医師と症例ベースでの話し込み」が多くなります。
オンコロジーMRになると、あなた自身が、医師、患者の立場になって1例ずつフォローアップしていくのが仕事になります。
そして、自社品の投薬による著効例があったら、症例に関する情報を社内で共有して、全社内で連携していきます。
そうすることで、さらに社内での情報の蓄積量は高まり、現場の医師へフィードバックできる情報の質と量を高めていくことができます。
オンコロジーMRは勉強が大切
オンコロジー領域は、この領域特有の用語や深い知識が求められる領域です。
なので、オンコロジーMRは、オンコロジー領域に特化する分、この領域の疾患のメカニズムや治療に関する深い知識を勉強する必要があります。
プライマリケアMRのように、「医師にどれだけ尽くすか」とか「どれだけ頻回訪問するか」という世界ではないのです。
オンコロジー領域の勉強の大切さ
- がんの病態から、治療方法、投薬による副作用に至るまで、あらゆる勉強が必要。
- がんの場合は、発症部位によって治療方法も異なってくるので、それぞれ発症部位による細かい勉強が必要。
- 単剤で治療することはなく、複数の薬剤を組み合わせて治療するので、多剤の薬剤についても勉強が必要。
さらに、学術的な知識を勉強するためには、多くの文献を読む必要があり、英語の文献も読まないといけない場面が出てきます。
がん領域特有の専門英語も出てくるわけで、「英語は見るだけでうんざり」という人には、なかなかしんどい勉強です。
正直な話、知識を習得するまでのハードルは他の領域のMRよりだいぶ高いです。
その代わり、しっかり勉強して知識を身につけ、理論武装することができれば、医師からのあなたへの信頼もバツグンに上がります。

オンコロジーMRのやりがい
オンコロジーMRは年収が高い
オンコロジーMRは、他の領域担当のMRより年収が高いです。
会社によって、差をつけていないところもありますが、多くの企業では、オンコロジーMRの方が年収が高いです。
オンコロジー領域の薬剤の方が薬価が高いので、「目標計画と売上金額が高い」というのが一つの理由です。
オンコロジー領域の薬剤は、プライマリケアのような生活習慣病領域より、1剤あたりの単価はダントツに高いですよね。
あと、オンコロジーMRの方が「業務の質が上」という会社からの評価も理由の一つです。
この辺は、賛否両論あるかもしれませんが、現実、オンコロジーMRの方が年収が高いことが多いです。
だいたい同世代のMRで比較したら、プライマリケアMRより平均年収ベースで100万円ぐらい高いです。
オンコロジーMRなら、30代前半でも年収1,000万円プレイヤーがいる世界です。
がん治療のチームの一員になれる
がん領域の場合は、何とか治療効果を上げて、患者さんの予後を改善するために医師も必死です。
がんの場合は、患者によって遺伝子変異の状況が異なるので、その患者に適した薬剤の投与が必要になってきます。
何でもかんでも「〇〇疾患にはうちの薬剤を使って下さい」というプライマリケアMRとは全然スタイルが変わってきます。
オンコロジー領域は、患者さん1例に重みがあり、1例ずつの個別治療にあなたが関与していくことになります。
実際に医療現場では、患者の状態がなかなかよくならず、治療法に悩んでいる医師がいるのも事実です。
そんな医師に、MRであるあなたが、治療のヒントとなるような適切な文献や情報を提供していくわけです。
その結果、患者さんに治療効果が得られて予後が伸びると、医師からマジで感謝されます。
「がん治療のチームの一員」
というプライマリケア領域では絶対にありえない関係を医師と築くことができるので、その分やりがいは大きいです。
あなたの存在が必要とされる
プライマリケアMRの場合は、残念な話ですが、開業医や病院で「けむたがられる存在」に近いです。
医師と関係ができている場合を除けば、基本的に「邪魔もの扱い」です。
クリニックや病院の訪問規制が年々厳しくなっていく様子を見れば、傾向が分かりますよね。
その反面、オンコロジーMRは、その存在が必要とされています。
- 「特定のがん患者さんの治療の相談」を医師から受けることもあります。
- 医師の方から「来てほしい」と言われることもあります。
- 薬剤部の薬剤師から連絡を受けて相談されることもあります。
あなたが医療機関から必要とされるのです。
まさに「医薬品の情報提供」というMRの使命を十分果たすことができるのです。
あなたの情報提供によって患者さんのがんの病態が改善されると、医師や薬剤師から、
「ありがとう!」
と感謝されることもあるのです。
これは「MRのやりがい」以外の何物でもないですよね。
MRとしての行動も変わる
オンコロジーMRになると、MRとしての日常行動も変わってきます。
毎朝、卸に訪問してMSと打ち合わせすることは無くなります。
「医局の前での待ち伏せ」や、開業医の「訪問件数稼ぎ」も無くなります。
その代わり、医師とはアポイントによる面談が多くなり、医師とのアポイントの面談準備のための時間が増えてきます。
- 文献、参考情報の準備
- 提供する資料の熟読と勉強
- 症例ベースでの最善の治療法の検討
というような、患者のための仕事が中心になるのです。
プライマリケアMRのように月末に薬局に訪問して、
「今月あと〇本発注お願いします!」
という泥営業とは全然違う世界があるのです。
花形領域で出世も早い
オンコロジーMRの場合の担当施設は、
- 大学病院
- 基幹病院
- がん専門施設
のような大規模病院がほとんどで、開業医は基本的に担当しません。
なので、
オンコロジーMR=「大学病院担当者、基幹病院担当者」
で、社内でも優遇される立場になります。
万年の開業医担当者とは一線引いた存在です。
治験に携わることもあるので、臨床開発部との顔ができたり、本社の専門部隊と同行することもあります。
開業医の担当MRのままでは、絶対に同行することのないような社内の上層部の人と同行することもあるのです。
それだけ社内で顔を作ることができ、出世のチャンスも圧倒的に多いのです。
オンコロジーMRになる方法
製薬企業のオンコロジーMRになる
オンコロジーMRへの転職を目指す場合、一番の理想は、
「製薬企業のオンコロジーMR」
になることですが、製薬企業のオンコロジーMRにいきなり転職するには、若干ハードルがあります。
以下は、ある製薬企業のオンコロジーMRの募集要件です。
ある製薬企業のオンコロジーMRの募集要件
- オンコロジー領域の担当経験3年以上
- 〇〇領域のがん疾患の経験がある方歓迎
という感じで、「オンコロジー領域」での担当経験年数の縛りがあることが多いです。
中には「オンコロジー領域担当経験5年以上」を要件とする製薬企業もあるぐらいです。
最もハードルが低いパターンで、オンコロジー領域での担当経験が無くてもOKな場合は、
「大学病院の担当経験者」
という条件を必須にしているところもあります。
これらの要件をあなたが満たせるなら、迷うことなく「製薬企業のオンコロジーMR」への転職を目指してください。
でも、実際のところ、なかなかここまでの経歴があるMRは少ないですよね。
そもそもオンコロジーMR経験が何年もあったら、転職を考えることもあまり無いですし。。。
ですので、一般的な領域の担当MRやプライマリケアMRで、
- オンコロジー領域の経験もない
- 大学病院担当の経験もない
という場合は、いったん「オンコロジー領域のコントラクトMR」を目指して転職する戦略が有効です。
コントラクトMRでオンコロジーMRになる
MRの大多数は、
- プライマリケア領域などの一般的な領域の担当経験しかない
- 開業医や中小病院しか担当したことがない
というMRのはずです。
この場合、いきなり「製薬企業のオンコロジーMR」へ直接転職するのはハードルが高くて難しい話です。
逆に、オンコロジー領域のコントラクトMRになるために、CSOに転職するならハードルが一気に低くなります。
CSOのコントラクトMRなら、オンコロジー領域の担当が未経験でも、転職して飛び込んでいくことができるのです。
実際に、オンコロジー領域のコントラクトMRに転職していくMRには、オンコロジー領域の未経験者がたくさんいます。
CSOでは、オンコロジー領域に強いコントラクトMRを育成するために、研修や補完教育が充実しているところもあります。
オンコロジー領域専門のタスクチームを編成しているCSOも多いです。

ですので、いったんCSOに転職してオンコロジー領域の経験を積んで、その後に製薬企業に転職していくのはとても賢い戦略です。
一見、遠回りのようだけど、長い目で見たら計画的なキャリアアップと言えます。
まとめ
オンコロジー領域の特徴と、オンコロジーMRのやりがいや年収についてお伝えしました。
「プライマリケア領域から、オンコロジー領域への転職組」
はいるけど
「オンコロジー領域から、プライマリケア領域への転職組」
はいないです。
つまり、それだけオンコロジーMRの方が、MRとしてのやりがいがあるし、年収も高いわけです。
あなたがいま「製薬企業のMR」の場合は、
「コントラクトMRへ転職」
と聞くと抵抗感があると思いますが、「オンコロジー領域のコントラクトMR」は若干雰囲気が違います。
「専門性の高い部隊」として認識されますし、派遣された製薬企業にスカウトされることも十分考えられます。
あなたが今後のMRキャリアで「オンコロジーMR」への転職を考えているのなら、
「コントラクトMR → 製薬企業のMR」
というキャリアアップが現実的です。

また、もしあなたが完全に「MR未経験者」の場合は、いきなり異業種からの転職でオンコロジーMRになるのはほぼ無理な話です。
あなたがMR未経験者なら、まずはMRとしての経験を積むことが先ですよ。